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     小笠原母島観光協会/「母島鳥情報」バックナンバー集
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HAHAJIMA BIRDS INFORMATION
母島鳥情報 vol.1

特別天然記念物ハハジマメグロが母島列島にしか生息しないということはよく知られています。その他天然記念物のアカガシラカラスバトオガサワラノスリ、固有亜種のオガサワラカワラヒワハシナガウグイスなど様々な鳥が目を楽しませてくれます。本州でも見られるメジロイソヒヨドリヒヨドリ、海鳥のカツオドリオナガミズナギドリアジサシなども母島では数多く見られます。林を歩いているとメジロやウグイスなどは人間を警戒しないため、すぐ近くまで寄って来ます。また渡り鳥も多く、120種が記録されています。その中から、シーズンの鳥を紹介していきたいと思います
今回は
オナガミズナギドリす。

オナガミズナギドリの巣立ち
1999.11.29 今シーズン最初のオナガミズナギドリ(尾長水薙鳥)が持ち込まれた。ミズナギドリの仲間は日本では5種の繁殖が確認されているが、亜熱帯の小笠原周辺ではオナガミズナギドリが分布域、個体数ともに圧倒的に優位であり、ははじま丸の船上からも飛んでいるところをよく見ることが出来る。
オナガミズナギドリは、毎年この時期になると庭や道路にいるところを見つけられ保護されるようになる。
大抵の場合、外見からは成鳥と区別できないのだが、中には綿羽が頭部に残っている個体がいて今年生まれであることを証明してくれる。
12月12日までに持ち込まれたり、直接保護したものは全部で14羽。そのうち1羽は左翼、左足に傷を負っていて復帰は望めなかったが、残りは翌日放鳥しても問題なく、元気に飛んでいった。
本来なら明るい海上へ向かって旅立つはずのオナガミズナギドリも人工の光に惑わされ、電線などに当たり落下するようである(この人工光害は海亀の産卵にも指摘されている)。特にこの時期のグランド・ナイター利用は誘引力があるようで、何羽ものオナガミズナギドリが上空を舞っており、中には照明にぶつかって落下するものがいる。
オナガミズナギドリを見つけたら、とりあえずダンボール箱に入れて保護し、翌朝風を受けやすい海岸で放鳥する。
鳥にさわれない方は母島観光協会3-2300へ連絡を。

号外!母島鳥情報 2000/1/25

2000年1月25日2:00頃、漁協売店の入口ガラスに鳥が激突。脳震盪をおこし保護された。
調べた結果、今まで観察された記録のない「ヒレンジャク」と判明。保護した人が家の庭の木に止まらせておいたが、10分後元気よく飛んでいった。
ガラスを磨き上げるのもほどほどにしなくては、と、商店の人は言っている。

母島鳥情報 Vol.2 『繁殖シーズン真っ最中 2000/5/1

先日、学校帰りの中学生が職員住宅の屋根を見上げている所に通りかかりました。イソヒヨドリのヒナが巣立って軒に止まっているところでした。すぐ近くで親鳥が餌をくわえて待っており、一瞬の間に餌を与えて親鳥は飛び立ちました。また、巣立ちヒナも学校のタマナの木へ移動しました。今、島の陸鳥達は繁殖シーズン真っ最中です。そこで、お願いがあります。
ヒナを安易に拾わないで下さい。
巣立ちヒナは巣から離れたばかりで1羽でいるととても頼りなげですが、実は親鳥とは鳴き声でコミュニケーションをとっています。「危なくてかわいそう」と拾いたくなる気持ちは分かりますが、ヒナを”誘拐”しないようにお願いします。猫が近くにいる場合などは追い払って木の枝や軒先など、高いところに止まらせて下さい。そして遠くからそっと見守ってあげましょう。親鳥がきっと現れるはずです。
巣立ちの時期、親鳥は餌を与えるだけでなく、餌の取り方、危険回避の方法など、本能だけでは不十分な事を教え、ヒナはそれをもとに自然界で生きていく力を身につけていきます。そして親離れの時期を迎えるのです。
船客待合所の中にもイソヒヨドリが巣を作りました。朝、扉を開けると同時に、親鳥が鳴きながら入ってきます。ははじま丸を待っている間にイソヒヨドリの親子に会えるかもしれませんね。

母島鳥情報 Vol.3 『サバクビタキ?! 2000/10/7

アフリカ北部からチベットに至る乾燥地帯に繁殖する鳥、サバクビタキと思われる鳥が、10月2日から母島小中学校のグランドに出現。日本にはきわめて稀に渡来する鳥で、今までに数例の記録しかない。母島では過去20年ほど前に日本野鳥の会宮城県支部が集落内で目撃している。本来西に行く鳥が東へ来てしまったらしい。鳥の渡りのナゾである。
母島には季節によって様々な鳥が渡ってきており、今まで120種以上が記録されている。これからも珍しい鳥に会えるかもしれない。(聞き取り)

母島鳥情報 Vol.4 『ウミネコの集団越冬 2001/1/26

この冬沖港では、例年にないほど沢山のカモメが群れています。大半がウミネコですが、その中にひとまわり大きなオオセグロカモメが少数混じっています。ちょっと見た目には4種類いるように感じられますが、それは羽根の色が茶色っぽい幼鳥もいるためです。カモメの仲間は完全な成鳥羽になるには4年ほどかかります。日本産のカモメで成鳥羽でも尾に黒帯があるのはウミネコだけですが、若鳥のうちは尾に黒帯がある種は少なくありません。
ウミネコは日本ではもっとも普通のカモメですが、世界的には分布が日本周辺の極東地域に限られています。主に北海道周辺や東北地域で集団繁殖しますが、関東周辺では少数ですが八丈島の属島である八丈小島で繁殖しています。青森県の蕪島などいくつかの集団繁殖地のうち5箇所が、天然記念物に指定されています。「海猫」と言う名前は「ミャーオとかクワーオ」と猫に似た声で鳴くことに由来しています。ユリカモメやセグロカモメのようにカモメの中で名前の下にカモメとつかないのはウミネコだけです。
この冬父島の二見港でカラーリングの付いたウミネコが観察されました。リングの色とアルファベットの記号から1999年7月10日に北海道の天売島で放鳥された個体であることが判明しています。これは北海道東部でのウミネコのコロニー形成の増減とコロニー間の移動状況を調べる目的で1998年から実施されているもので、出生地及び出生年別にリングの色とアルファベットの記号が変えられています。沖港にも右脚に赤いフラッグ状のリングが付いた幼鳥が1羽飛来していますが、詳細が確認できないため今のところどこから来たのかは不明です。カラーリングの付いたウミネコを観察された方は情報をお寄せ下さい。

母島鳥情報 Vol.5 『ヤツガシラ 2001/3/22

母島には「春の渡り」の季節が訪れています。毎年のように現れてくれるヤツガシラが、今年は3月8日に静岡からのバードウォッチャーにより確認されました。最初に前浜のヤシ並木で観察され、その後は評議平のヘリポートやグランドなどでよく見られています。3月13日は石次郎海岸上の道路脇のちょっとした草地にも餌を採りに降りていました。
ヤツガシラは頭に冠羽がある、ハトより一回り小さい鳥で、飛んだときには翼から尾羽の白と黒の縞模様がとても目立ちます。冠毛は普段閉じていてサイクリング用のヘルメットをかぶったような感じですが、驚いたときなど冠毛を立てたときは、インディアンの羽の冠のようです。(山渓カラー名鑑「日本の野鳥」のヤツガシラの項(p.367)では、母島で撮影された写真が使われています。)嘴は細長く下に曲がっており、地面に嘴を突き刺しながら餌を採っている様子は一見シギのようでもあります。
日本では稀な旅鳥でしたが、1982年に初めて長野県で繁殖が確認されてからは、広島県、岩手県と繁殖の記録が増えつつあります。しかし、分布等は偶発的で本土では、まだまだお目にかかることの少ない鳥だと思います。小笠原では「春の渡り」の記録がほとんどで、「秋の渡り」は数えるほどですが、この傾向は本土でも同様です。どうも春と秋では通過するコースが違うようです。小笠原にはどこからやってくるのでしょうか?
ヤツガシラはこの一種のみです。

母島鳥情報 Vol.6 『アカガシラサギ 2001/4/11
この冬は、寒かったせいか(サギ)が大勢渡って来ました。4月に入ってもまだ残っており、大谷川と鉄砲沢が出会う前浜の河口付近によく集まっています。また、夕暮れになると塒に帰るため、集落の上空を群れで飛んでいるのを見かけます。その中に1羽、ちょっとした珍客が混じっています。
アカガシラサギ(赤頭鷺)は、日本では近年になって熊本県や秋田県で繁殖が確認されるようになったものの、まだまだ稀な旅鳥です。母島では過去に何度か観察されていましたが、一冬過ごしたのは珍しいと思います。コサギよりもさらに小さなサギで、静止している体型はどちらかというとササゴイに近い感じです。冬羽では飛ぶと頭から背中が褐色、翼が白でよく目立ちます。夏羽は名前通り赤い頭巾をかぶったようになり、背中も黒っぽくなります。
前浜の河口にはコサギアオサギとともに小魚を求めてやって来ます。じっとしていたかと思うといきなり走り出したり、波打ち際を行ったり来たり。ウォッチングする方としては楽しいのですが、彼らはエネルギー補給に一生懸命です。(3月には餌をとれないために衰弱死したと思われるアオサギがいました)河口は水量がないとすぐに砂で閉塞し袋沢になってしまうのですが、小さなボラが取り残されて恰好の餌になっているようです。
いつまでいるか判りませんが、充分にエネルギーを蓄えて次のシーズンにまた現れてくれることを期待したいと思います。

母島鳥情報 Vol.7 『オガサワラカワラヒワ 2001/6/05
母島では内地より一足先に陸鳥たちの繁殖シーズンを迎えました。小中学校の近くでは、イソヒヨドリがヤモリやアノールをくわえ雛のためにせっせと餌を運び、民宿の庭先のガジュマルにかけられたメジロの巣からは、雛のチーチーいう鳴き声が聞こえています。
さて、カワラヒワの1亜種であるオガサワラカワラヒワはということになると実はこれがよく判っていません。母島の属島の姉島で繁殖していることが、1996年に信州大学の中村浩志先生によって初めて確認されたのですが、なぜか母島本島での繁殖記録がないのです。向島や妹島では古巣が見つかっており繁殖の可能性が高いようですが、母島では古巣さえ見つかっていません。こんな小さな母島列島の中でどうして渡りをする必要が生じたのでしょうか?
今いわれているのは、餌と水が大きく影響しているのではないかということです。主な餌はムニンアオガンピなどの種子で乾性低木林の広がる属島に多いのですが、水場は雨季を過ぎるとほとんど属島にはなくなってしまいます。どのカワラヒワも餌を採るときに大量の水を飲むらしいので、比較的山が高く水が確保できる母島に渡ってくるのだろうというのです。
では、雨の多い年は渡って来ないのか?そんなことはないようで、4月中旬になってから評議平や元地の上空を飛ぶ個体を見かけることが多くなりました。カワラヒワの喉を転がすような「キリリーコロコロー」という鳴き声や繁殖期特有の「ビィーン」という声もたまにですが聞こえています。しかし、縄張りを構えるわけではなく、夕方になると属島がある南に向かって飛んでいってしまいます。はなはだナゾです。
メグロはもちろんアカガシラカラスバトオガサワラカワラヒワもと期待している鳥見人の方々、オガサワラカワラヒワは例年通りであれば、胸に縦斑のある幼鳥を連れた群れが5月に現れ始めます。本州で見慣れた亜種コカワラヒワよりも身体が小さく、嘴は太く大きくまた翼の黄色部分が少ないのが特徴です。残念ながら父島では返還直後から観察されなくなったので、母島に来ないと見られなくなってしまいました。

母島鳥情報 Vol.8 『真夏のオジロワシ 2001/7/17
 
文:母島野鳥研究会
6月23日、久々にオジロワシが姿を現しました。観察された場所は姉島の北側で、梅雨明けの太平洋高気圧の下、ははじまの海を満喫しようとプレジャーボートに乗っていた3人からの情報です。また、7月8日にはウミガメ調査に来ていた海洋センターチームが同じ場所で目撃しています。姉島が気に入ったのでしょうか?因みに2000年の夏には妹島上空を飛んでいるのを確認しています。オジロワシは1995年の春に聟島で確認されてから、その後各地で度々目撃されていますが、同一個体である保証は今のところありません。ただ、尾羽根の白さや体色から若鶏ではないことは確かなようです。
オジロワシはユーラシア大陸の温帯から亜寒帯域に広く生息し、日本では少数ですが北海道東部での繁殖が知られています。大部分は冬鳥として日本に飛来しますが、北日本が主でそれほど南下することがないのが普通です。北国の海鷲というイメージを持つオジロワシが、真夏の炎天下に小笠原上空を飛ぶ姿はなんとも不釣り合いな感じがします。それから気になるのが、何を餌にしているのだろうかということです。主な餌はサケやマス等の魚と言われていますが、内地ではカモを襲撃することもよくあるので、地上に営巣している無防備なカツオドリがその対象になっている可能性は十分にあります。嫁島ではクロアシアホウドリの残骸が見つかり、オジロワシに襲われたのではないかと考えられています。


 「母島鳥情報」に関するお問い合わせ・ご希望はこちらまで

〒100-2211 東京都小笠原村母島字元地
小笠原母島観光協会
TEL 04998-3-2300 FAX 04998-3-2200
E-mail:hahajima@bonin.ne.jp

母島鳥情報 Vol.9 『ヤツガシラ part2 2001/9/13
 
文:母島野鳥研究会
前回(Vol.5)ヤツガシラを取り上げたときには、「小笠原では春の渡りの記録がほとんどで、秋の記録は数えるほどですが、この傾向は本土でも同様です。」と書いたのですが、数えるほどのヤツガシラの秋の記録が8月下旬にありました。
8月18〜22日父島の亜熱帯農業センターの果樹エリアで見られた後、父島で情報が途絶えました。その後母島25日に静沢分譲地近くで、26日には新橋付近で見られたため、初めは同一個体が移動してきたものと考えていたのですが、その後両島で観察されるようになり別個体であることが確認されました。母島の個体は春に見るより警戒心が強く、落ち着きがないような気がしました。母島では9月4日支所の前にいたものを最後に情報がありませんが、まだ居るのか去ってしまったのか判断しかねる状況です。もし変な鳥を見かけたら情報をお寄せ下さい。

母島鳥情報 Vol.10 『カワセミ
 文:母島野鳥研究会
船客待合所にある鳥情報ノートに「8月26日 カワセミ1(前浜)の記録が載っていたのでかなり気になっていたのですが、台風15号が抜けた9月9日、大谷川に架かる架かる乳房橋〜大谷橋間でやっと観察することができました。増水した川を見ようとガードレールに近寄ったところ、「ツィー」と一声発して下流に向かって飛び去るコバルトブルーの小さな背中が見に入りました。一瞬でしたが、まぎれもなくカワセミでした。久々に見る翡翠(ヒスイ)色した川の宝石です。過去にも何度か母島で見ているのですが、8月に現れるのは大変珍しい気がします。カワセミは水辺が好きとはいえ海面で休息するわけではないので、島伝いに来たとしても大変な旅だったと思います。
英名はキング・フィッシャーといい、その名のとおり小魚が主な餌です。まだ一瞬しか見ていないので、今度はぼらの稚魚でもいいのでダイビングして魚を捕まえる勇姿をじっくり見たいものです。

船客待合所には鳥情報ノートが置いてあります。見かけた鳥を書き込んでもらうものです。また母島の白地図に見た場所と名前を記入してもらう母島鳥マップも掲示してあります。これらを参考に楽しくバードウォッチングしましょう。皆さんの情報は母島の貴重な資料にもなりますので是非書き込んでください。事務局には図鑑もありますのでご利用下さい。

母島鳥情報 Vol.11 『ミヤマガラス 2001/11/26
 
文:母島野鳥研究会
11月13日、母島に突然とカラスが出現し、その後色々な場所で多くの人の目に留まったため「捕まえないと大変なことになる」と一部の島民からカラスの出現を危ぶむ声が挙がりましたが、16日畜産指導所から連絡が入りその日に観察したところ、都内で問題になっている”ハシブトガラス”ではなく、日本では繁殖しない渡りの習性をもった”ミヤマガラス”であることを確認しました。一昨年父島で観察され話題になったものと同一で、今年父島には2羽出現しているそうです。しかしまた春には旅立ち、島に定着することはないので心配することはありません。
ミヤマガラスは中国などユーラシア大陸で繁殖し、日本には九州地方を中心に集団で越冬のため渡ってきます。近年になって越冬する地域が拡大し始めたのか、東北地方でも大きな群れが観察されているようです。農耕地など開けた地上で穀類などの農作物や昆虫類を餌にするといわれており、母島でも和牛放牧場や耕作地で何かを啄んでました。大岸小岸でも見かけることがあるようですが、餌になるものが落ちているのかも知れません。
外形はハシブトガラスよりも一回り小さく、くちばしが細く尖って見えます。成鳥になるとくちばしの基部が白くなるのですが、今回見た個体はくちばしが真っ黒でまだ若鳥のようです。寄せられた情報では母島に2羽いるかも知れないのですが、同時に観察された訳ではないので、まだはっきりしていません。日本で繁殖する別のカラス”ハシボソガラス”に一見すると似ているのですが、やはり大きさがやや小さく、くちばしと額の角度が違う(ハシボソガラスは段差がほとんどない)ので注意して見てください。
 大岸:ははじま丸が接岸する岸壁  小岸:前浜にある岸壁。

鳥情報番外編
母島鳥情報も2年目を迎えました。母島野鳥研究会とは?母島鳥情報の筆者は?などと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。リアルタイムな母島鳥情報の筆者は、小笠原の鳥に関してはこの人以外にいない小笠原村役場在職の千葉勇人氏です。もし運良く双眼鏡片手の千葉氏に出会えたら最新母島鳥情報が聞けるかも知れません。運の悪い人は、母島観光協会入口に掲示してある”今月の渡り鳥情報”をご覧下さい。

バードウォッチングのさらなる楽しみ
今年もオナガミズナギドリが人工の光に迷い道路にうずくまっている姿を目にする季節になりました。また、普段目にすることのないような鳥が渡って来ています。いよいよバードウォッチングに最適なシーズン到来です。季節感の曖昧な島ですが、こういうところでも季節を感じ取ることが出来ます。さてこの秋、何種類の鳥を見ることが出来るでしょうか。
11月の渡り鳥情報
ムナグロ、キョウジョシギ、シメ、ジョウビタキ、チョウゲンボウ、ミヤマガラス、タヒバリ、ウズラシギ、ホシムクドリ、ユリカモメ
母島鳥情報 Vol.12 『ホトトギス 2002/6/5
 
文:母島野鳥研究会
春の渡りの季節もそろそろ終わりですが、5月18日、
ホトトギスの鳴き声が小剣先山方面から聞こえてきました。「テッペンカケタカ」とか、「特許許可局」と聞きなされる独特の声で威勢よく鳴いているのですが、残念ながら姿をまだ見せてくれません。6月に入っても「声はすれども姿は見えず」の状態が続いているので、なんとか姿を見たいと思っているのですが・・・
さて、ホトトギスの仲間(日本には他に、カッコウ、ツツドリ、ジュウイチが繁殖しています)は托卵(自分では巣を作らず、多種の巣に卵を産み込んでヒナを育てさせる)をすることが知られています。ホトトギスの主な托卵相手はウグイスとされていますが、ホトトギスの仲間が繁殖しない伊豆七島では、メジロにも托卵するそうです。小笠原からはこれまでにも観察記録が報告されていますが、繁殖は確認されていません。
南の島っていったらなんたってヤシの木!小笠原のヤシについてのお話です
トロピカル・プランツの代名詞になっているヤシ科植物は、分類上世界中に約230属3,300種が分布する大所帯です。しかし、小笠原に自生する固有種のヤシは「ノヤシ(セボレーヤシ)」「オガサワラビロウ」「メイジマビロウ」の3種しかなく、島の集落でみかけるヤシのほとんどは人為的に内地から導入されたものです。「椰子の実」の歌にあるように海外から潮に乗って渡ってきたと思われる固体は、母島列島の平島の「一本ヤシ(ココヤシ)」くらいではないかと思われます。
小笠原固有種の3種のヤシを見てみましょう。「セボレーヤシ」はノヤシ属に属し、一説によると沖縄の八重山から先島に自生する「ヤエヤマヤシ」とフィージー諸島原産の「フィージーノヤシ」と同じ仲間と言われています。(ヤエヤマヤシはヤエヤマヤシ属との説もある)セボレーヤシは大昔は小笠原諸島約30の島々に広く多く分布していましたが、明治時代の農地開拓で伐採され、戦後は父島やケータ島では野山羊の食害を受けるなど、その数を減らしました。母島の集落では村民会館の庭と学校の脇でみられます。
オガサワラビロウ」と「メイジマビロウ」のビロウ属は中国南部から亜熱帯のアジア、インドネシア、オーストラリア、ソロモン諸島、太平洋の島々が原産で広大な範囲に分布しています。大きな掌状葉をもった「ヤシ」で、約34の品種があります。その中で小笠原原産のものを「オガサワラビロウ」といい、葉軸に棘のないものを「メイジマビロウ」と呼んでいます。「メイジマビロウ」と呼ばれているので姪島だけに自生しているのかというとそうではなく、母島の乳房山や南崎の乾性林によく見られます。それらの遊歩道を歩く際にはその差異に注意して自然観察するのも楽しいでしょう。小笠原ではこのヤシを「シュロッパ」と呼び、ミクロネシア・ポリネシア同様に衣食住に密接に関係していました。内地の旧家では「かや」でふいた「かやぶきやね」がありますが、小笠原ではこの「ビロウ」が「かや」の代用にされました。今では「シュロッパぶき」の家に暮らす人はいなくなりましたが、戦前の農家の写真を見るとほとんどの家が「オガサワラビロウ」「メイジマビロウ」でふいた家なのがわかります。今では母島の郷土資料館であるロース記念館と、休憩所の屋根としてあちらこちらの園地でみられるだけとなりました。


保護されたオナガミズナギドリ
この後海上に放したら元気に飛んでいった。


南進線のヘラナレン
11月8日頃開花


集落内のセボレーヤシ


前浜のココヤシ


植栽されたトックリヤシ