4月19日(土)
15日から連日、母島の北部:西台のアカギ駆除作業に参加している。
西台の「大沢」という名前のとおりの大きく深い沢には、
その沢をはさんで何箇所にも巨大なガジュマルが繁る。
ガジュマルの森に埋もれて、
母島で戦前盛んだった製糖業の道具類が転がり、
この森にも人々の営みがあったことを教えてくれる。
画像の帽子に付けてあるのはGPSのアンテナだ。
アカギの密度が濃い場所、ややまばらな場所、アカギを処理した本数、
作業した場所もGPSで位置を記録しながら進んでいく。
単調だがハードな作業中、鳥のさえずりが私たちの心を癒してくれる。
今日も「ほ〜気持ちいい!」と大沢のハシナガウグイスは鳴くのだった。

4月5日(土)
先日、乳房山遊歩道を歩いていて発見した「シマウツボ」。
森の中の黄色いヒヨコ、と形容したが、黄色いウツボのようにも見える。
でも、シマウツボの名前の由来は、
弓矢の矢を入れる「靱(うつぼ)」が由来になっているそうだ。
そういわれて見ると、花の形状が似ているような気がする。
植物の名前は難しい、憶えにくいとよく言われるが
由来とセットで憶えると記憶にとどまることが多いと思う。

4月2日(水)
ネズミの枝落としの調査で乳房山へ。
被害にあっている植物は、テリハハマボウが断トツだった。
ゆっくり遊歩道を歩いていると、近くでエンジン音がした。
刈払機で遊歩道の除草をしているSさんだった。
今日は気温も高かったので、額には大粒の汗が。
母島の山はいつも遊歩道整備がされているので、
ゲストの皆さんもガイドの私も安心して山歩きが楽しめる。
遊歩道整備の皆さんにお会いするたび、ありがたいと思う。
乳房山では、4月の常連「シマウツボ」が開花中だった。
シマウツボは森の中の黄色いヒヨコのような姿だ。
場所は東ルートのゴムノキ林の下山方向左側。
ゆっくり歩くと見つかると思う。

3月29日(土)
ははじま丸の出港後、写真を撮りながら集落を散策した。
都道241号線(北進線)沿いには、
野生のアマリリスの花が沢山みられる季節となった。
母島の農業の歴史は、明治20年代よりサトウキビ栽培が盛んになり、
その後、バナナやパイナップルなど熱帯果樹栽培が始まり、
大正〜昭和期には観葉植物や蔬菜類の栽培がおこなわれた。
北進線で見られるアマリリスも、もとは栽培していたものかと思う。
久しぶりに沖村墓地にも行ってみた。
お彼岸近くに咲くことからか、
母島のお年寄りが「彼岸花」と呼ぶアマリリスが満開だった。

3月26日(水)
母島には集落内に鍾乳洞があるのをご存知だろうか?
沖港船客待合所から徒歩3分ほどの場所にあり、
ははじま丸の出港前にちょっと時間が空いてしまったときなどにお薦めだ。
鍾乳洞入り口には、安全管理のため鍵がかかっているので、
母島観光協会で見学の申し込みをしてから行く。
鍾乳洞内にはガジュマルの気根が垂れ込め、雰囲気満点。
時間がある方には、鍾乳洞上の月ヶ岡神社裏のジャングル探検も
合わせてお薦めしたいと思う。
身近な場所にカルスト石とガジュマルの
鬱蒼とした森があることにびっくりされることだろう。

3月10日(月)
母島は今、渡り鳥の季節を迎えている。
昨日は南崎ロータリー付近でヤツガシラをみかけた。
母島の鳥に比べると警戒心が強く、近づけない。
遠くからカメラを向けると、頭の冠羽を扇状に広げた。
図鑑によると、頭頂の冠羽は2列になっていてそれぞれ10枚ほど。
どうやらこれが、名前の由来らしい。
鮮やかなゼブラ模様の翼といい、ビジュアル系の鳥だ。
食べ物は土壌昆虫やトカゲなどで、
この日も芝生の上で昆虫等を採餌している様子だった。

2月20日(水)
乳房山や南崎遊歩道で、シマシャリンバイの花が見頃をむかえている。
漢字で書くと「島車輪梅」で読んで字のごとく
花が梅の花に似ており、枝先に車輪状に花がつくことが由来という。
以前は小笠原固有種と考えられていたが、
現在は広域分布種とされている。
また、島名は母島では「サンドロ」と呼ばれており、
これは、シマシャリンバイの材が堅く、
斧の柄(Axes
handle)に使用したことが由来だそうだ。
Axes
handleを何回も早く発声してみると、
アレクサンドロになるだろうか?是非、お試しあれ。

2月13日(水)
日中は汗ばむほどの気温になった昨日は、
TVのロケの下見で南崎遊歩道を歩いた。
ハハジマメグロの撮影が先方の希望に入っているので、
メグロの行動を気にしながら森を歩いていると・・・足元から視線を感じた。
「???」視線の主はオカヤドカリだった。
今まで住んでいた家が手狭になったのか、殻交換の真っ最中だった。
でも、新しく選んだ家は黒いプラスチックのキャップだった。
おいおいヤドカリさん、ちょっと趣味が悪いのでは・・・?
3時間後に同じ場所を通ったら、オカヤドカリの引越しは終わり、
森の中に帰ろうとしている姿を見かけた。
撮影本番では何がおこるかな?森の中は不思議がいっぱい。

2月4日(月)
この何日か、母島では暖かい日が続いている。
母島の集落や、山の岩場ではハカラメ(セイロンベンケイソウ)の花が盛りだ。
ホタルブクロにちょっと似たハカラメの花は、
岩場での乾燥にも良く耐えて美しく咲く。
ハカラメの花の蜜を求めて、メグロやメジロが花の外から穴を開けている。
昨年は大きな台風も少なく、植物の開花や結実が例年どおりである。
3年に1度くらいの周期で実るオガサワラグミも、そろそろ赤くなってきている。
3月頃には、ちょっと甘くて渋いグミの実が食べられるだろう。

1月29日(火)
乳房山遊歩道で、ゲストの皆さんが一同に圧倒される植物がある。 それは、ガジュマル。 乳房山ルートを西廻りで登ると、ちょうど中腹くらいの位置に大樹がある。
ガジュマルが小笠原に移入された経緯としては、 住居の付近に日陰を作る目的や、防風から家を守る目的があったらしい。 でも、ガジュマルが色々な植物を飲み込む勢いで繁殖していることは脅威で、 その旺盛な勢いは、見るものを黙らせる。
画像はガジュマルの種子。 アカガシラカラスバト、ハハジマメグロ、オガサワラヒヨドリなどが好んで食べる。 今後、ガジュマルに対してはどのような対策が取られるのだろうか?

1月22日(火)
先日、父島で絶滅危惧種の「アカガシラカラスバト」の保全に関する ワークショップが開催され、今後の保全の展開を真剣に考えた。 アカガシラカラスバトは、小笠原の固有亜種の鳥で天然記念物。 父島・母島合わせて推定40羽くらいと考えられているこのハトは、 森林内の樹木の実を食べている。
ところが、ハトの餌木は外来植物のアカギに被圧されて成長が悪い。 また、台風などの影響で極端に種子の結実が悪いこともある。 加えて、ハトは地上に降りて採餌するため、ネコに襲われることもある。
画像はアカガシラカラスバトの好物・アコウザンショウ。 ミカン科の小笠原の固有植物で、ハトは今の季節はこの種子を食べている。 この他にシマホルトノキ、ムニンヒメツバキ、シロダモもよく食べる。 今年は台風が少ない年になって、餌木の実りがよい年でありますように。

1月2日(水)
午前4時30分に前浜のガジュマル前集合で、元旦の初日の出登山に出発。 2008年の元旦は、早朝までの雨で遊歩道はかなりぬかるんでいて いつもは近い南崎:小富士まで、随分長い道のりに感じられた。
日の出前の6時頃、標高86mの小富士に到着。 白々と夜が明けてくる。空と海が秒刻みで明るくなってくる。 しかし、空には厚い雲が立ち込め日の出は期待できそうにない。
そのとき、みんなの目の前にクジラの大きなブローが! 綺麗な日の出は見られなかったけれど、 悠々と大海を泳ぐクジラの姿に大満足で小富士をあとにした。

12月29日(土)
晩秋から初冬にかけて、
内地の夜道ではキンモクセイの香りが甘く漂う。
母島でもその季節、日中は目立たない花が夜になると
所在を知らせようとするように香っているのを感じる。
植物の名前はヤコウボク(夜香木)で、
西インド諸島産のナス科の低木だ。
私の家の前にもヤコウボクの木が1本あり、
夜間、家の窓を開けておくと、部屋まで良い香りが漂ってくる。
開花するのは夜7時くらいから。
日中はまるで香らないのが不思議で、
どんな花と香りか確かめたい方は、夜道の散歩がお薦め。

12月20日(木)
母島の暮らしの中で欠かせない通信手段として防災行政無線がある。
今年の中ごろまで、古いタイプの受信機のお世話になっていたが、
光ファイバーケーブルなどの工事も進み、IP告知システムというものに変わった。
おがさわら丸の入港日には、乗船客数や入港時間のアナウンスがスピーカーから
流れ、それを聞きながら商店や民宿は迎え入れの準備をする。
また、「今日は母島小中学校のロードレース大会です。皆さん、児童生徒たちに
暖かい声援をお願いします。」といった、島内行事のお知らせも放送される。 しかし、誰もが注意を払って聞き入るのは年に数回ある台風に関する放送だろう。
「台風●号の中心の気圧は960hPaで、最大風速は50m、小笠原に最も接近するのは
・・・。」といった内容の放送だが、今年は回数が少なくて本当に助かった。
さて、今年もあとわずか。お世話になった受信機の掃除をするとしよう。

12月11日(火)
降り続いた雨も一段落したので、調査の仕事で山へ。
雨量が豊富なためか、シダの成長がいい。
どのシダも胞子がびっしりついているものが多く、
シダの種類ひとつずつ違ってる胞子のパターンは、見ていて飽きない。
森の中で巨大ゼンマイのようなシダの新芽に出会った。
リュウビンタイモドキは小笠原の固有種の大型シダで、
乳房山山頂付近や堺ヶ岳などに多い。
2m近くにも成長するリュウビンタイの向うからは
なんだか草食恐竜がでてきそうだ。

12月6日(木)
久々に風もなく快晴で陽射しが心地よい。
今日も前浜に渡り鳥を見に行き、玉川ダムに足を延ばすことにした。
玉川ダムの湖畔には、オオバンが数羽気持ち良さそうに浮かんでいた。
警戒心が強く、遠くからカメラを向けてもすぐに草むらに隠れてしまう。
船木山遊歩道から滝に向かう途中では、ムニンシュスランが開花中だ。
小さなクリーム色の小花を密生させた花穂が可憐だ。
少し歩くと目の前をふわりふわりと漂っていくものがあった。
目を凝らしてみると、アサギマダラだ。
長距離移動することで有名なこのチョウは、秋から冬の母島でよく見られる。
傷付いた羽が長旅を物語っている。
明日は何に会えるかな?楽しい冬の散歩が続く。

11月28日(水)
月ヶ岡神社例大祭頃から雨降りの日が続いた。
ガイドと調査の仕事もちょうどひと段落していて、久々に本を読んで休めた。
そして今日は久々に晴れて、日中の気温は30℃を超えた。
お日様が照っていると、やはり家にはいられない気分になる。
陽射しが強く、まだなんだか泳げそうな気配・・・と思って外にでたが、
海は台風23号の影響か少し波がある。
そこで、海岸でのんびりバードウォッチングをすることにした。
内地が本格的な冬を迎えようとしている今、母島に飛来する渡り鳥も増えてきてい
る。
前浜近くではセグロカモメ、アオサギ、カイツブリ、チュウサギなどが見られた。
「玉川ダム付近ではカワセミも見ましたよ。」という情報にのせられて、
明日は玉川ダムに行ってみようかな、と考えている。
双眼鏡を覗いて図鑑で調べる、ちょっと楽しい季節がはじまった。

11月17日(土)
昨日は研修ツアーのお客様と南崎へ。
オガサワラゼミの鳴き声を聞いたのも10月までで、
静かな森を木漏れ日を受けながら歩いた。
鳥の声が頭上から降るように聞こえてくる。
見上げると、メジロの群れがモモタマナの実をつついている。
メジロの群れの中にハハジマメグロを見つけた。
遊歩道から見上げると、お腹の色が黄色いメグロはメジロよりやや大きめ。
やっとお客様にメグロを見ていただけて私も一安心。
母島の鳥たちは人間のすぐ近くまでやってくるので、
双眼鏡なしでもバードウオッチングが出来るのが自慢だ。
それにしても、小さな鳥たちは動きが愛らしい。
画像は満月を撮影しようとして偶然撮れた光のライン。
なんだか形がメグロに似ている。

11月9日(金)
先日、久々に3日間続けて日の出の撮影の同行をした。 天候が悪く、思うような写真が撮れず残念だったが、 早朝の空の色が刻々と変わっていく様子や、 森の鳥たちのざわめきを身近に感じてなかなか楽しい仕事だった。
水平線から昇る朝日を見るなら南崎:小富士がお薦め。 日の出前の森は真っ暗な闇なので、ヘッドライトが必要だ。 画像は標高86mの小富士から見た日の出。 小さな島影は、無人島の姪島と妹島。

11月3日(土)
潮汐表(ちょうせきひょう)は、私にとってはとても大切な暦だ。 潮の干満だけでなく、毎日の日出や日没もこれがなくては判らない。 満月や新月も潮汐表をみて「今日は新月だから星がきれいかも。」など スターウオッチングのときも重宝している。
画像は蓬莱根海岸。 白い砂浜の海岸はひっそりしたプライベートビーチ感覚で島民に人気の場所。 歩いていく場合は潮汐表で引き潮と上げ潮の時間を確認してから行こう。 南崎遊歩道の「蓬莱根」という道標をみつけたら沢沿いに歩き、 海岸に出たら磯伝いに北に進む。
干潮時の岩場は滑りやすいので転ばないように注意して・・・。

10月26日(金)
先日、ステキな色に染め上げたスカーフを何点か見せてもらった。
ややスモーキーなピンク色とでも言ったらいいのだろうか、
深みがある柔らかい色彩に目がひき付けられた。
何点かのスカーフを染める原料となっているのは外来植物のアカギ。 母島の生態系に悪影響を与える植物として駆除の対象になっている。 でも、ただ伐採されるだけではアカギも気の毒な気がする。 こうして新たな生命を与えられて誰かの胸元を飾ることで アカギも少し救われるのではないか・・・そんな気がしながら眺めた。
また、静沢戦跡遊歩道では階段の丸太材としてアカギは有効利用されている。
第二の生命を与えられたアカギにも目を留めて頂きたい。

10月16日(火)
乳房山遊歩道を少し登ると、この植物が両側に生茂っている。
リュウゼツラン科の植物で「チトセラン」という。
別名ではサンスベリア、トラノオなどの呼び名もある。
明治時代に繊維植物として移入されたという。
ちょうど今はチトセランの開花と結実の両方が見られるいい時期でもある。
なんでも、この植物にはマイナスイオンの「癒し効果」があるらしい。
遊歩道でちょっと立ち止まって、秋の陽射しの中癒されて頂きたい。

9月28日(金)
先日、地元の農家のかたの畑を見学させて頂いた。
「この間の台風9号でねぇ、悲惨なバナナ畑になっちゃって・・・。」
とおっしゃっていたが、なんと!見事なバナナがあるではないか!
このバナナの種類は「三尺(さんじゃく)バナナ」といい、
バナナの草丈が三尺だから?と今まで思っていたが、
この立派なバナナの房を見たら「バナナの房の長さが三尺だから?」
と思えてきた。
房の一番下についているのが花で、ロケットとよばれる。
このバナナの花を使って「花バーグ」というハンバーグを作る島民もいて、
シャキシャキした花の食感が楽しめる島らしい一品でおすすめ。

9月20日(木)
母島も秋めいた風がときおり吹くようになり、
オガサワラススキの穂もだいぶ伸びてきた。
島でマグサと呼ぶハチジョウススキに比べて
オガサワラススキは葉の幅が少しだけ狭いようだ。
9月になってから、山ではオガサワラゼミの鳴き声がさかんに聞こえる。
このセミの声も母島の秋を感じさせるもののひとつだ。
銀色に光るススキの穂が海に向かって気持ち良さそうに揺れている。
どうれ、私も山から降りたらひと泳ぎするか・・・。

9月14日(金)
このところ程よい間隔で雨が降るので、 森はいつもしっとりと湿っている。 遊歩道はぬかるんで歩きにくいが、シダや苔が生きいきとして美しい。
そしてこんな森の中では、ときどきキレイなキノコを発見する。
画像はドクベニタケのようだ。 『小笠原きのこ小図鑑』によると 「ムスカリン類を含む毒キノコで胃腸系の激しい中毒を起こす」とある。 キノコの鮮やかな色や造形を森の中で眺めて、
目で楽しむだけにしたほうが良さそう。

9月7日(金)
台風9号後の石門を一回りしてきた。 心配していた昆虫や動物の餌木への被害は少なく、ホッとしている。 石門一帯の東側の山の斜面ではムニンセンニンソウ(キンポウゲ科)が満開。 ブルーのグラデーションが美しい大崩湾の海の色との相性は抜群! この花が咲くと、小笠原の秋の始まりを感じるのだ。
この頃の石門は、夏の間の程よい雨でシダ類が成長して足元が見えにくい。 木の根やツル植物に足をとられないように注意が必要だ。 また、昨年の9月・10月の台風で森の樹冠部がポッカリ空いたところでは、 アコウザンショウ、タイワンソクズ、イヌホウズキが2mほどにも成長している。 アコウザンショウ(ミカン科)は体質によっては肌がかぶれるので、
長袖シャツの着用をお薦めしたい。

9月5日(水)
台風9号にも持ちこたえて、庭に実ったレモンが4個。 昨年の台風の影響でレモンの木も弱ったらしく、 春先には花がたくさん咲いた割りに大きくなったのは少しだった。
大学のスクーリング等で上京して母島に戻ると レモンの木が上京前の1.5倍ほどに成長していて驚いた。 支柱以上にレモンの木が高くなったので、支柱を交換しなくては・・・。 夏の太陽と程よい雨を受けて大きく育ったのだなぁ、と思うと なんだかしみじみと感動してしまった。 樹を育てるためにレモンの木自身がコントロールして 今年は実りが少ないもかも知れない、 などと一人感心しつつ収穫のときを楽しみにしている。

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